学習指導案アーカイブ

学習指導案

金砂神社大祭礼について調べよう

使用ソフトウェア・教材

教育用統合ソフト
キューブシリーズ

ワープロ、電子紙芝居、メール、掲示板

茨城県 日立市立坂本中学校
澤田 英治

事例No.000011 1999/11/19

1.単元目標


(1) 古典作品を学ぶことを通して、古人の生活や考え方に興味をもち、古典に親しもうとする。(関心・意欲・態度)
(2) 学習したことをまとめ、視聴覚機器を効果的に使ってわかりやすく表現することができる。(表現)
(3) 古典作品を読む上での基本的な事項を理解し、現代文と古文の共通点と相違点に気づくことができる。(理解)
(4) 歴史的仮名使いなど、古文特有の言語表現を理解することができる。(言語)

2.単元について


本単元は、生徒にとって中学校で初めて古典に接する単元である。今後3年間の中学校での古典学習はもちろん、生涯における古典学習の導入にあたる単元として位置付けられる。本単元の学習を通して、生徒が古典に対してどのようなイメージをもつか。それによって、生涯にわたる古典学習の関心・意欲が築かれることを考えると、本単元のもつ意味の大きさがわかる。新学習指導要領の中で、古典に関しては「古典に親しむ態度の育成」に重点がおかれている。古人の生活や考え方に興味をもち、わたしたちとの共通点や相違点を知ることによって、古典の世界と現代のわたしたちの世界との連続性に気づき、古典を身近に感じることが重要視されているのである。また、国語科解説書の中では、「今日にも生き続けている文化や伝統」に着目することが強調されている。「古典に親しむ態度の育成」のための一つの手段として、「今日にも生き続けている文化や伝統」に着目することの意義は大きいと思われる。

 

古典に親しむ」という大きなねらいを達成するために、本単元を3つの学習で構成した。一つ目は導入の学習である。ここでは学習材として「常陸風土記」にある「密筑」(みずき)に関する記述の部分を使用する。この学習材を選んだ理由は、生徒にとって身近な地域学習材だということである。水木は本校の学区ではないものの、さほど遠くなく、生徒にとってはよく知っている地名である。水木海岸は海水浴場になっており、夏になると本校の生徒もたくさん訪れる。自分たちがよく知っている地名が、「常陸風土記」のような古い書物の中に出てくることは、生徒にとっては驚きであろう。古典の世界と現代のわたしたちの世界とのつながりを意識するという意味でも適した学習材だと考えられる。

 

二つ目は古文を読む上での基礎・基本を学ぶ学習である。学習材として光村の教科書から「蓬莱の玉の枝」を使用する。「蓬莱の玉の枝」は、「竹取物語」の一部分である。「竹取物語」は「かぐや姫」として多くの絵本が出版されており、映画化もされている。ほとんどの生徒が一度は読んだことのある物語であろう。スケールの大きな展開やストーリーの面白さも手伝って、生徒は興味をもって古典作品に触れることができると思われる。

 

三つ目は発展学習である。古典の世界を身近なものとするため、ここでは、古代から現代まで脈々と受け継がれてきた伝統文化について調べるという学習を取り入れる。学習材は「金砂神社大祭礼」である。この大祭礼は金砂郷町の西金砂神社と水府村の東金砂神社の神輿が、73年に一度、大行列を組んで日立市の水木浜へ神幸する磯出祭のことである。前回は昭和6年に行われ、今回は平成15年に行われる予定である。行列は途中2箇所の宿をとるのであるが、本校の学区内の石名坂もその宿のひとつである。現在の石名坂公民館わきには大きなエノキがある。このエノキは前回の大祭礼のとき植えられたもので、今回の大祭礼のときにはこのエノキを切り、切り株に神輿を置くのである。一説によれば大祭礼の起源は9世紀までさかのぼることができるという。これは、「竹取物語」成立の時期とほぼ同じである。このように、坂本地区とも密接な関係がある祭礼であること、73年に一度しか行われないこと、古代から現在まで脈々と引き継がれている伝統的な祭礼であることから、生徒が古典の世界をより身近なものとしてとらえるための発展学習として適していると考えられる。また、大祭礼の行列の行き先は水木浜であるが、なぜ「水木」かという理由は、「常陸風土記」の「密筑」の記述と深い関わりがある。導入の学習が発展学習に生かされるわけであり、その意味でも発展学習に適していると思われる。

 

事前のアンケートの結果から、水木という地名はほとんどの生徒が知っていることがわかった。また、水木海岸に行ったことがある生徒も多い。水木を自分たちにとって身近な地域ととらえている生徒が多いだろう。それに対して、金砂神社の祭礼について知っている生徒は非常に少なかった。前回の大祭礼を体験した人は現在かなりの高齢であることを考えれば無理もないだろう。おじいさん、おばあさんに話を聞くなど地域・家庭の協力が不可欠だと思われる。

 

本単元のように地域に学習材を求める場合、資料の収集が重要なポイントとなる。郷土資料館や図書館、神社とコンタクトを取りながら、資料を収集していきたい。また、地域のお年寄りの話を聞くことにより多くの情報を得ることができるだろう。本校周辺の地域ばかりでなく、金砂郷町や水府村の中学校と情報交換をすることで、より幅広く資料の収集ができればと思っている。

 

学習にあたっては教育機器を有効に活用していきたい。導入の場面では資料提示にプロジェクターやVTRを使用することで、生徒の興味・関心を引き出したい。水木海岸の映像や石名坂のエノキの映像など、本単元では映像資料も豊富に用意できると思われるので、学習場面に応じて適切に提示していきたい。発展学習において、金砂神社大祭礼について調べる際にはコンピュータの活用を考えている。資料収集にインターネットを使う、統合ソフト「ハイパーキューブ」を使って集めてきた資料をまとめる、LAN(校内ネットワーク)を使って情報交換やコミュニケーションをするなど、多方面に活用してしていきたい。また、他の中学校や関連施設との情報交換にはメールを積極的に利用していきたいと思っている。

 

「古典に親しむ」ことをねらいに導入と発展学習に特色を置いた単元構成だが、古文を読む上での基礎・基本の指導をおろそかにしてはいけないと思っている。導入では古典への親近感をもたせるとともに、古典を学ぶ必要感をもたせたい。「身近な地域の歴史や伝統行事を調べるためには古文を読む力が役に立つ」という意識をもつことができれば、導入での意欲を持続したまま「蓬莱の玉の枝」の学習を進めることができると思われる。導入→内容→発展という流れの必然性、関連性を大切にしながら学習を進めていきたい。


3.指導計画(10時間扱い)


目標 学習活動・内容 教育機器 評価の観点
常陸風土記を読み、身近な地名が古い書物にあることに関心を持つことができる。
水木海岸の映像資料を見て映像からわかることを話し合う。
常陸風土記の「密筑」の記述を読み、それが「水木」であることを知る。
常陸風土記の本文と現代語訳を読み比べ、概略をつかむ。
コンピュータ
プロジェクター
ビデオデッキ
身近な地名が古い書物にあることに関心を持つことができたか。<観察・発表(1)>
金砂神社の大祭礼に興味を持ち、学習計画を立てることができる。
金砂神社の祭礼の映像資料を見る。
金砂神社の大祭礼について知り、調べてみたいことを話し合う。
古典について学習計画を立てる。
コンピュータ
プロジェクター
ビデオデッキ
金砂神社の大祭礼に興味を持ち、学習計画を立てることができたか。
<観察・ノート(1)>
「竹取物語」と「かぐや姫」を比較しながら、物語のあらましをつかむことができる。
「蓬莱の玉の枝」と「竹取物語」の関係を知り「竹取物語」が「かぐや姫」の出典であることを知る。
「蓬莱の玉の枝」と絵本「かぐや姫」を読み比べ、共通点や相違点について話合う。
「蓬莱の玉の枝」を音読し、物語のあらましをつかむ。
CDプレイヤー
ビデオデッキ
モニター
「竹取物語」と「かぐや姫」を比較しながら、物語のあらましをつかむことができたか。<観察・発表(3)>
古文と現代文の表記上の違いを知ることができる。
「蓬莱の玉の枝」を音読する。
「蓬莱の玉の枝」の古文の部分を視写しながら、仮名遣いなど現代文との違いを知る。
 冒頭部分の場面の情景や人物の心情について考え、話し合う。

CDプレイヤー

古文と現代文の表記上の違いを知ることができたか。<発表・ノート(4)>
「蓬莱の玉の枝」の内容を理解し、古人と私たちの共通点や相違点について話し合うことができる。
「蓬莱の玉の枝」を音読する。
くらもちの皇子の部分と富士山の部分の、場面の情景や人物の心情について考え、話し合う。
「蓬莱の玉の枝」の内容(ストーリーや登場人物の心情、背景など)に注目し、現代の物語やわたしたちの心情との共通点や相違点について話し合う。

CDプレイヤー

「蓬莱の玉の枝」の内容を理解し、古人と私たちの共通点や相違点について話し合うことができたか
<観察・発表(3)>
自分の課題を設定し、それを追究するための計画を立てることができる。
金砂神社の大祭礼について調べたいことを発表し、課題別にグループ分けをする。
グループごとに何を調べるか、調べる方法、役割分担、まとめの方法、準備するもの、などを話し合い、計画書に書く。
休日に校外で調べるための計画書を書く。
他の学校や自分たちでは行けないような施設に協力をお願いしたいことを書く。
校内の資料を使って調べ学習をする。
コンピュータ
デジタルカメラ
プロジェクター
自分の課題を設定し、それを追究するための計画を立てることができたか。
<観察・ノート (1)>
教育機器を有効に使いながら、調べたことのまとめや発表ができる。
調べてきた資料をグループの中で説明する。
生徒からリクエストのあった資料を提示する。キューブの掲示板を使って生徒に配信する。
最終的なまとめのイメージに沿って、資料を整理、コンピュータへの入力を行う。
自分たちのほしい資料について他のグループにリクエストし、資料の交換を行う。
2つのグループが中間発表を行う。
コンピュータ
デジタルカメラ
プロジェクター
教育機器を有効に使いながら、調べたことのまとめや発表ができたか。
<観察・発表(1)(2)>

本 時 

教育機器を有効に使いながら、調べたことのまとめや発表ができる。
最終的なまとめのイメージに沿って、資料を整理、コンピュータへの入力を行う。
自分たちのほしい資料について他のグループにリクエストし、資料の交換を行う。
キューブプロジェクタを使って効果的な発表の工夫をする。
2つのグループが中間発表を行う。
コンピュータ
デジタルカメラ
プロジェクター
教育機器を有効に使いながら、調べたことのまとめや発表ができたか。
<観察・発表(1)(2)>
教育機器を有効に使いながら、調べたことのまとめや発表ができる。
発表会に向けて資料をまとめる。
発表のための役割分担、原稿作成をする。
発表にむけて、教育機器を使いながらグループごとに練習をする。
2つのグループが中間発表を行う。
コンピュータ
デジタルカメラ
プロジェクター
教育機器を有効に使いながら、調べたことのまとめや発表ができたか。
<観察・発表(1)(2)>
10
教育機材を有効に使いながら、調べたことを発表し、古くから伝わる伝統行事を身近に感じることができる。
グループで自分たちが調べたことを発表する。
感想や質問を発表し、発表内容について深める。
すべての発表が終わってから、これから引き続き調べたいことについて話し合う。
単元学習を終えての感想を書く。
コンピュータ
プロジェクター
教育機器を有効に使いながら、調べたことを発表し、古くから伝わる伝統行事を身近に感じることができたか。
<発表・ノート(1)(2)>

4.本時の指導


(1) 目標
教育機器を有効的に使いながら、調べたことをまとめることができる。
教育機器を有効的に使いながら、中間発表を行うことができる。
(2) 準備・資料

プロジェクター・コンピュータ・デジタルカメラ・金砂神社大祭礼の資料
(3) 展開

学習活動・内容 形態 教育機器 支援・援助の視点 評価
1 本時の学習内容を確認する。
調べてきたことをまとめよう。
中間発表をしよう。

一斉


前時までの学習内容を振り返り、グループごとに調べたことをまとめるという本時の学習内容を確認する。
中間発表を行うグループに対しては、本時の最後に途中経過の報告をすることを告げる。

グループで調べてきたことをまとめる。
(1) それぞれのグループのテーマに沿って調べてきた素材を効果的に配列する。

テーマの例

金砂神社祭礼について

昭和6年当時の地域の様子

地域のお年寄りに聞きました

昭和6年の大祭礼について

金砂神社の歴史と祭礼

水木海岸の歴史

素材の例

水木海岸やエノキなどデジタルカメラで撮影可能な画像
前回の大祭礼や地域歴史の写真
書物・新聞記事
インターネットからダウンロードしたデータ

まとめ方の例

キューブワードを使って電子新聞
キューブプロジェクタを使って電子紙芝居
模造紙を使って壁新聞
その他
(2) グループ内や他のグループと素材や情報の交換をする。

小集団

コンピュータ
デジタルカメラ
スキャナ
前時までのファイルは教師用のコンピュータに集中保管されているので、必ず教師用コンピュータから開くようにさせる。
デジタルカメラのデータや音声データはあらかじめキューブに取り込める形に変換しておき、時間のロスを防ぎたい。
テーマに沿った素材を効果的に配列できるように各グループを個別に支援する。
インターネットができるコンピュータは各グループ1台ずつ設定する。
検索の手間が省けるように本校のホームページから関連するホームページへのリンクを貼っておきたい。
キューブのメール機能を使うことで簡単に素材や資料のやりとりができる。
 グループを超えて活発な情報交換ができるように促したい。
全員に見てもらいたい資料がある場合にはキューブの掲示板機能を有効に使いたい。
 









教育機器を有効に使い、情報交換をしながら、調べてきた事をまとめようとしたか。〈観察(1)〉
2つのグループの中間発表を聞く。
(1) 発表を聞く。
(2) 感想や意見を発表する。

一斉

プロジェクタ

教育機器を効果的に使って分かりやすい発表になるように支援する。
発表を真剣に聞く態度も大切であることを意識させる。
教育機器を有効に使い、わかりやすく中間発表ができたか。
〈発表(2)〉
本時のまとめをする。

一斉


現在までの進行状況をグループで確認し、自己評価カードを書く。



 

※本授業実践アイディアの著作権は、『作成者・発表元』またはその他の著作者が保有しています。

 

スズキ教育ソフト