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学習指導案 / 
卒業研究

No.000143 1998/01/16


学校種・学年 小学校6学年  ゲスト学級 4学年 
教科 卒業研究、(情報教育)
小学校  特別活動 学習指導案/指導計画/授業アイディア
学校名 東京都 東村山市立化成小学校
作成者・発表元  
使用ソフトウェア・教材 お絵かき(キューブペイント)
電子紙芝居(キューブプロジェクタ)
音楽(キューブミュージック)
教育用統合ソフト キューブシリーズ製品情報


1.総合学習「卒業研究」の単元の設定

 
国語の2学期の終わりの学習「情報を生かす」と3学期の「わたしからのメッセージ」という単元がある。どちらも児童が調べたことを元に、説得力のある作文を書くことがねらいである。教科書ではこの2つの単元は合わせて23時間、この時間を使って 「卒業研究」 の総合学習を計画した。
この授業を設計するにあたって次の条件を考えた。

(1) 調査活動はグループで協力しながら行う。
グループ活動にした理由は、
個人研究では、教師のサポートが追いつかない。
調査の質のばらつきを押さえるため。
児童一人一人が自分の興味をもとに主体的に活動できる。
グループの調査活動で児童相互のかかわりが期待できるため。

(2) 専科教師が全員かかわりがもてる学習にする。
専科教師が担当できる内容を児童に示しておいてグループを決定する。

(3) 調べた内容が、これからの化成小に役立つこと。
卒業の記念に残るような研究にする。
まとめた内容は、化成小学校のコンピュータネットワークシステムの中に入れておいてだれでも自由に見られるようにする。

(4) 単元の途中で調べた内容を下級生に発表する。
学級内で互いに発表し高め合う学習ばかりでなく、4年生に対して自分の調べたことを発表することで、わかりやすい表現、効果的な発表方法を学んでいく。

(5) 6年生の実態をふまえた内容。
今までの学習を生かして児童が調査できる内容にする。
限られた時間で、ある程度の効果が期待できる内容を検討する。
単元の中には発表活動の時間、パソコンにデータを入力する時間、作文を書く時間、計画を立てる時間が必要である。あまり児童の負担にならないようにする。

この学習の構造は次のようになっている。
計画 グループ分け、調査の計画
調査 分担して調査
パソコンに入力 調査した内容を画面にまとめる
発表 4年生に対して発表する
パソコンのデータ化 パソコン画面の仕上げ
作文を書く 調査したことをもとに作文を書く
 

2.児童の実態


本クラス(6年2組)の児童は人数がとても多く、全体的には明るく元気であるが、一人一人の個性が強く、なかなか自由に自己表現できない児童が多かった。
とりわけ、5年生の時には自己中心的で学習意欲をほとんど示さなかったり、指示されたことはやるが、それ以上に工夫したり考えたりしようとしない児童が目立った。また、クラス内にトラブルが発生しても、見て見ぬふりをしたり、あきらめて我慢する傾向が強かった。

この状況を改善するため、話し合い活動を重視し、「お互いに意見は違っていてもいいのだ。」 「自分なりの考えを言えるようになろう。」 と声をかけ続けた。とりわけ、算数では、問題解決学習を数多く取り入れ、多様な解決方法があることや、ともに考える楽しさを実現させる工夫を試み続けた。

その結果、6年生になるころには、お互いの違いやよさを認め合い、よりよいものを求めて努力する児童が少しずつ増えてきた。また、自主的な調べ学習や説明文・物語文・実験観察などで自分なりの感想や分かったことを自由に表現できる児童も多くなった。
本クラスの児童と本時に至るまでのパソコンとかかわりについては、以下の通りである。

学期 ソフト 時間 内容
1学期
リテラシーソフト
キューブベース
クイズ作成ソフト
基本操作
自己紹介カード作り
5択クイズ作り
2学期
天体ソフト
キューブペイント
電子地図ソフト
キューブペイント
キューブペイント
キューブペイント
今夜の星空を見てみよう。北・南・東・西
パソコンで拡大図縮図を描こう
電子地図で学校から東村山駅までの距離測定
ペイントの使い方
自分が選んだ詩や俳句を入力
自分の作った詩を表現する

合計 17

3.児童のグループ


化成小に残る研究をしようと言うことで、児童に研究のテーマを相談させたところ、専科の教師があらかじめ考えておいた内容とほぼ同じものが出てきた。
児童のグループ
校歌
化成の名所
卒業アルバム
保健
化成の木
体育館
体育館舞台装置
化成の歴史

4.指導計画


実施日 内容


12/1
オリエンテーション、どのような学習をするのか。学習のねらい。
どのようなテーマが考えられるか話し合い、興味関心意欲を高める。
専科の教師との顔合わせ。研究テーマの絞り込み、グループ決め。
グループ別に計画の立案。何を調べるか、調べる方法は、分担は。
調


















12/5





12

15

「化成の歴史」 グループ
化成歴史館、市立図書館、諸資料  ・校長先生にインタビュー
「化成の木」 グループ
木の種類、配置、高さ、太さ、特徴  ・理科の教師に質問
図書室で図鑑を調べる
「体育館」 グループ
体育館の歴史  ・体育館の測定   ・開放の利用者調べ
「体育館舞台装飾」 グループ
舞台装飾の歴史調べ   ・元図工の教師、教頭先生にインタビュー
「保健」 グループ
けが調べ   ・けがの起こりやすい場所や時間
「化成の名所」 グループ
スケッチ   ・写真   ・名所紹介   ・校章の由来
「卒業アルバムの表紙」 グループ
クロスステッチの方法   ・デザイン
「校歌」 グループ
校歌の楽譜の入力   ・歌詞の意味   ・作者について



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調査したことをまとめ、コンピュータに入力
文字、図、写真、グラフ、絵、地図、音、etc....の入力
画面をつなぐ
 
一部グループ残って作業



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19
発表原稿の作成
発表原稿の作成
発表のリハーサル
4年2組に発表
発表内容の修正
4年3組に発表 (本時)
4年1組に発表





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25
12/23
23
 
卒業研究のまとめとして、調べたことを元にして説得力のある作文を書く。
グループとしての研究を自分のものとして定着させる。
 

5.本時の指導

  
(1) 本時の目標
調査した内容を工夫して発表する。
他のグループの発表を聞いて、感想を持ち、それを伝え合うとともに自分たちの発表内容を見直す。
発表活動を通じて、同級生・4年生とのかかわりを深める。

(2) 本時を実施するにあたって
<4年生との関係>
4年2組の児童に対して、事前に発表を行う。人に発表することで、自分たちの発表を見直し、より効果的な発表を工夫していく。専科の教師は、事前授業となる4年2組の発表の時には一担当しているグループだけではなく、いろいろなグループを見て発表についてのコメントを与える。また、4年生や同級生からの意見も取り入れて発表内容をより充実させていく。

4年生は、1クラス30人程度である。事前にどこの発表を見るか決めてきてもらい、人数が極端にかたよらないように調整してもらうことにした。

6年生も半分の児童は、他のグループの発表を聞きに行くため、同じように事前に分けておく。6年2組の児童は、3時間の発表の時間に、4〜5グループの発表を聞くことが出来ることになる。

<パンフレットの作成>
各グループが調査した内容を短い言葉でまとめ、B4一枚の案内を作成する。これをもとに4年生に聞きたいところを決めてもらう。

<会場の経営と発表の方法>
同じ発表を何回もすることになるので、1回目の発表の経験を生かして、2回目の発表を工夫するように指導していく。本単元では、4年の各クラスに3回ずつ発表する。一つのグループで9回発表することになる。発表は、グループを・2つか3つに分けて半分のメンバーで行う。後の半分は他のグループの発表を聞く。分担については、グループ内で相談する。

グループが8つあるので、コンピュータ室のパソコンの乗っているテーブルをパネルで 8つに区切った。自分たちのコーナーで1〜2台のパソコンと掲示物等を使って発表していく。

パソコン教室内のグループ配置



・4年生は、隣の理科室を控え室とする。控え室で担任から一斉指導を受けて、入室となる。一斉指導の内容は、
  発表の聞き方、
  質問や意見、感想の記入の仕方、
  一生懸命調べてくれた6年生から化成小についてたくさんのことを学ぶ意欲付け、
である。
<時間によるローテーション>
発表は待ち時間10分で3交代とする。発表時間は4分を目安にまとめる。発表者が司会になり、短時間の質問・意見交換を行う。協議の中で、聞いてくれた児童一人一人から意見をもらうようにする。最後に、聞いてくれた児童に感想用紙に記入してもらう。
発表時間や交代の管理を児童が出来るようにするため、教師用のコンピュータに時間管理のプログラムを走らせる。発表が始まったらこの画面を見ながら行動する。なお、このソフトは市教研コンピュータ部の研究授業の際久米川小学校の奥島先生の作ったものを参考にして作ったものである。
<感想記入用ワークシート>




6.本単元で使ったコンピュータネットワークシステムについて

 
6年生が調べた内容を、3年生が使った電子紙芝居のソフトでまとめてみた。低学年や中学年で、絵を描いたり電子紙芝居(スライドショー)に慣れていると、高学年で、学習のまとめやプレゼンテーション(発表)に使うことに抵抗はなくなる。

コンピュータのシステムとしては、3年生の学習とほとんど同じである。3年生は、お話の絵を入れていたのだが、その絵の部分が調べた内容になっただけである。電子紙芝居による発表は、静止画と文字を使ったまとめ方である(音声を入れることも可能)。この方法は、今後いろいろな学習場面で使うことが出来る。

6年2組の児童は、電子紙芝居は初体験であったので、入力に多くの時間と教師の補助を要した。しかし、低学年から系統立ててコンピュータに慣れ親しんでくると、時間とコンピュータに関する教師の補助を大幅に減らすことが可能である。教師も児童も調査の内容について意識を集中できるようになる。

(1) 電子紙芝居ソフトについて
キューブプロジェクタを使用。ペイントの画面を一枚一枚作成してそれをつないでいった。児童がコンピュータに絵を保存する際、絵の名前(ファイル名)を適当につけていたので、後から順番がわからなくなったのが大変であった。保存したフロッピーディスクから読み出しが出来なくなるエラーが起こって絵を作りなおすということもあった。

(2) デジタルカメラの活用
写真のデータを使っていくためにデジタルカメラを活用した。デジタルカメラは、簡単な操作方法だけ教えて、児童に自由に使わせた。撮影してきたデータは教師の方でコンピュータの画面に貼りつけられるように加工した。

(3) イメージスキャナの利用
化成の名所グループが、鉛筆で絵を描いた。それをコンピュータの画面に取り込むために使用。校章などもこれで読み込んでいる。

(4) ネットワーク上のデータの登録
作品が全部完成したところで、このコンピュータを使っても、電子紙芝居が実行できるようにネットワークに登録した。この作業は教師が行ったが、データの修正や追加は、児童が出来るように操作しやすい環境を整えた。今後この電子紙芝居のデータを、他の学年の児童が自由に見られるようにするため、どのような形でコンピュータネットワーク上に置いたらいいのかについて検討が必要である。

(5) 音楽ソフトについて
「校歌」と「化成の木」グループが音楽をならしていた。これは、キューブミュージックというソフトである。サンプル版のソフトを実験的に使ってみたものである。音色等は少ないが、操作が簡単で使いやすい。

(6) 本時の展開
   
学習活動 支援:評価
今日のめあてについて話し合う。

一番訴えたいことが伝わるように工夫しよう

発表の仕方を振り返ってわかりやすくしていく。

4年生から、自分たちの発表についてたくさん意見をもらう。    
(4分)
支援: ただ単に原稿を読み上げて発表するのではなく、相手の反応で発表を変えていき、自分たちの訴えたいことが伝わるように工夫することに気づかせる。
発表を管理するプログラムを紹介する。
発表のポイントを板書して、意識を高める。
評価: 発表の方法を工夫するというめあてがもてたか。
発表の準備

各グループごとにコーナーへ行き発表の準備をする。

コンピュータの画面、掲示物の用意をし、発表の順番の確認をする。
支援: 発表を前にリラックスさせる。
評価: 聞いてもらう児童の立場に立って、準備が出来ているか。
4年生の入場

一回目の発表を担当しない6年生は、自分の聞きたいグループのところに行く。

4年生に入場してもらい各グループのコーナーに分かれる。    
(2分)
支援: 準備が出来たところで、時間管理のプログラムを動かす。
発表1
<発表者> <聞き手>
研究内容を発表する。 発表を聞く。
司会者になって質問や意見を聞く。 発表に対しての質問、意見、感想を述べる。
感想用紙に書かれたことと発表の時の反応から、自分たちの発表を振り返る。 もっと知りたいこと、感想等を所定の用紙に書く。(テーブル上)
交代する 次の場所へ移動する

(11分)
支援: 聞き手の反応を発表がつかんでいないときには、聞き手に目を向けさせて、自分たちの発表を振り返るように助言する。
支援: 4年生からの意見が出てこない時には、司会の方法を工夫するように助言する。
支援: 批判的な意見はグループの発表内容の改善を示唆している意見として、とらえることで進歩していくことを助言していく。
評価: 発表、協議、感想用紙を通じて、子どもたちのかかわりができたか。コミュニケーションが円滑に行われたか。かかわりを深めることが出来たか。
発表2   発表1と同様

(11分)

発表3   発表1と同様

(11分)

4年生の退場

4年生を感謝の気持ちをもって送る。

4年生は理科室で、6年生の発表を聞いてよかったことや感想を発表し合う。

6年生はコンピュータを終了して、中央に集合する。

本時を振り返って

今日の発表でよかったこと、工夫したことを発表する。

4年生との新たなかかわりについて発表する。   (6分)
支援: この学習を通して、下学年の児童との新たなかかわりが出来た例を抽出して紹介し、かかわりについての意識を高める。
評価: 4年生との望ましいかかわりがもてたか。
望ましいかかわり方について自分を振り返ることが出来たか。

7.研究の成果

 
この実践は、児童にとって大変に意欲的に取り組める。

今回 「卒業研究」 したことをパソコンに入力するにあたっては、未経験のことも多くあったが、児童にとっては、とても興味深く楽しい学習であった。 「化成小に役立つ研究をして、後輩に残していこう」 という共通目標に向かって、自分たちなりに調べたい課題を見つけ、グループを作り、共同研究することは初体験であり、新鮮な感動があった。

たくさんの先生方や地域の方々とのかかわりがもてた。

担任のほかに専科の教師が指導に入っていた。普段の専科の授業とはまたちがった、専科教師と児童のかかわりがあった。さらに校長先生・教頭先生・地域の方々への取材活動を通じて、いろいろな人々とのかかわりがもてたことは、有意義であった。専科教師にとっても児童理解が深まった。

自分たちで高めあう努力

調べたりまとめたり、パソコンに入力したりする共同研究の中で、お互いの意見の違いや感覚の違いを乗り越えて、よりよいものにまとめていこうと努力している姿が見られた。

異学年とのかかわり

発表を通じて、4年生とかかわりがもてた。4年生にとっても、再来年への意欲につながっていった。

必要感の中から、コンピュータの操作を覚える。

児童には、「こうしてみたい、ああしてみたい」 という要求が先にあるので、コンピュータ操作を無理なく覚えることができた。
 

8.今後の課題

 
指導者の負担の軽減

専科教師が、午後の時間を連日卒業研究のための指導にあたった。今回は、初めての試みなので、教師の意欲が持続したが、仮に化成小学校として毎年行うとした場合、専科教師の負担感は相当大きくなる。また、今回は6年生2クラスのうち、1クラスだけの実践であった。これが2クラス、3クラスで実践する場合には今回のような方法では、うまく行かない。

題材の選定
学校に関して児童が一番興味ある内容について、今年調べてしまった。まだ十分に深められていない点もあるが、来年以降実施するとした場合に題材のテーマ(研究の内容)をどのように決めていくかが大きな課題になる。

データのコンピュータネットワークへの登録
児童が調べた内容は、コンピュータの中に蓄積されている。ただ保存されているだけではこれからの化成小学校の役にはたたない。データが生きて活用されるためには、どのようにして保存しておいたらよいか課題である。

 

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