授業に役立つ教育情報サイト キューブランドWeb
授業実践アイディア授業実践アイディア
学習指導案 / 指導計画 / ヒント等
トップ > 授業実践アイディア-学習指導案データベース
 

学習指導案 /
表現力を育てるコンピュータデザイン

No.000345 2000/10/27


学校種・学年 小学校5学年
教科 総合的な学習の時間、(情報教育)
小学校 5年 総合的な学習の時間 学習指導案/指導計画/授業アイディア
学校名 山口県 山口市立小鯖小学校  
作成者・発表元 古屋 伸浩 
使用ソフトウェア・教材 お絵かき(キューブペイント)
教育用統合ソフト キューブシリーズ製品情報



「米・コメ・ワールド」と題した総合的な学習の実践の中で、子ども達によるオリジナル米袋デザインをコンピュータのペイントソフトを使って行った。子ども達が持ち寄った市販の米袋を教室に掲示したことがきっかけとなり、自分達でも作ってみたいということになった。初めは絵の具を使って画用紙に描いたが、コンピュータにより描画することに発展すると、より表現力豊かな作品が出来上がり、最終的には完成作品を県美展に出品したのである。

<キーワード>総合的な学習、コンピュータ、CG、ペイントソフト、表現力

1.活動設定の理由


本校のある地域は、山口県の主要国道が中心を貫いているものの、地域の産業としては比較的農業中心であり、本クラスの保護者の3分の1は兼業農家を営んでいる。緑豊かな地域に育つ子ども達であり、クラスの半数の子ども達は田植えや稲刈りの経験をもっていた。

しかし、第5学年社会科大単元「わたしたちの生活と食料生産」の米作りについて子ども達が調べ始めたところ、多くの疑問点が明らかになり、主食である米について知らないことが多いことに気が付いたのである。

そこで、国際理解教育の一環として米作りをテーマに「米・コメ・ワールド」と題した総合的な学習の単元を設定したのである。

子ども達は、年間を通して様々な体験活動(年間活動計画参照)をしてきたのだが、今回のテーマは、10月に行った「コンピュータによる米袋デザイン」である。情報収集や取材してきたことをまとめるためにコンピュータを活用することはこれまでもしてきたのだが、図工科との関連は初めての経験である。

児童の思いから発展したこの活動は、コンピュータ操作の習熟と同時にイマジネーションをふくらまし、最終的には児童の表現力の向上につながる学習であると仮定した。

2.本単元「米・コメ・ワールド」のねらい



(1) 自分達が生活する地域の自然に関心を持ち、そのよさを理解することができる。
(2) 国際人の資質の一つとして、自分を表現する力をつけることができる。
(3) 人間としての生き方や在り方、自然との共存・共生を考えることができる。
(4) 必要に応じて視聴覚メディアを効果的に活用することができる。


3.年間活動計画(抜粋)



4月 たんぼ見学・田植え体験
5月 バケツ稲作開始
6月 お米屋さん特別授業
7月 個人研究テーマ決定
8月 夏休み自由研究
9月 自由研究発表会・稲刈り体験
10月 コンピュータによる米袋デザイン
11月 わら細工体験・古代米試食会
12月 タイ米試食会
1月 ヤンバル米試食会・年間のまとめ
2月 未来の農業について討論会
3月 自然と人間について討論会


4.コンピュータによる米袋デザイン



(1) 視聴覚教材化した米袋 
米作りの学習を進めていくうちに、米穀店からもらったり、子ども達が持参したりした全国の産地の米袋が集まるようになった。

1学期のうちは特に意味もなく掲示するだけであったが、数が集まるにつれ、カラフルなオブジェとしての存在になってきた。

よく考えてみれば、いかに生産者が良質な米を作ったとしても外装に工夫が凝らされていなければ、数ある商品の中から消費者が手に取る可能性は低くなる。必然的に米袋はインパクトのあるデザインやコピーとなる。

そんな時に、ある児童が「自分達も米袋を作ってみたい」と言い出したのをきっかけに 図画工作科の時間を利用して「オリジナルの米袋デザインの制作」に取りかかることにした。子ども達には米袋をデザインとして見てその優れた点を学んで自分達のデザインに生かしてほしいと考えた。

そこで、もとの米袋をカラーコピーでB4サイズに縮小して、ラミネート加工をしてみた。こうすることで、米袋のしわや裂け目といった点に目を奪われることもなく、純粋に平面的なデザインにのみ目を向けることができるようになった。黒板への掲示もし易くなり、保管にも場所を取られないといったメリットもある。ただの米袋が意味ある視聴覚教材となったといえる。


 
左側が実物、右側がラミネート加工したもの


(2) 画用紙による作品づくり
これまで何気なく見ていただけの米袋であったが、ラミネート化した教材を並べてみると、「きれいだね」「かわいい」という感想がきかれるようになった。

そこで、これらを手本として各自がデザインをすることにした。用紙はB5版で、鉛筆による下書きの後に絵の具や色鉛筆を使って色付けをしていった。米の名前を入れる前には、新聞の文字を切り抜いたり、コンピュータのワープロソフトを使って打ち出したりしたものをトレースして配置した。

用紙サイズが小さく、手本となるデザインがあったことで、ほとんどの児童は2時間で完成することができた。



B5画用紙による作品


(3) コンピュータによる作品づくり

どの児童も作品が出来上がったところで、パソコンクラブに入っている児童が、「以前経験したコンピュータのペイントソフトで同じものを描きたい」と言ってきた。ちょうどよい機会でもあるので、同じく図工の時間を使ってコンピュータによる描画をすることにした。





 ○使用ソフトウェア 「ハイパーキューブ for Windows」


スズキ教育ソフト株式会社
 ○使用機器 富士通FMV      6台

ソーテックe-one   5台
 ○使用条件 5分交替



   

コンピュータによって完成した前頁と同じ児童の作品


(4) 活動の様子

3人1組でコンピュータに向かい、お互いに文字の大きさや字体、配色などについてアドバイスし合っていた。コンピュータの扱いに慣れている子ども達をうまく分散することで、大抵の操作については教師が出て行かなくても解決することができた。

子ども達はとても意欲的に活動し、限られた授業時間だけでは飽き足らず、多くの子が昼休みを利用して製作していた。


(5) 共同作品の制作
個人の作品が仕上がると、壁に掲示しただけではもったいないという意見が出たので、ビニル袋に物を詰めて立体作品にしてみることにした。

試作した第一案は、デザインした作品をビニル袋の上に両面テープで固定して、中にシュレッダーのくずを入れるというものだった。しかし、表の紙にしわが寄ってしまい、一体感のある袋という感じにはならなかった。

第二案は、ビニル袋の中にデザインした作品を入れるというものだったが、シュレッダーくずは、米の袋とはかけ離れた質感であったので、不評であった。

第三案は、ある児童のアイディアで、籾殻を入れることになった。ビニル袋も上部にのりがついたものに変更し、適度のふくらみを持たせると本物の米袋に近づいた。

出来上がった作品をダンボールで作った入れ物にすべて並べると、色とりどりの共同作品となった。ちょうど秋の学校美術展覧会のシーズンだったので、そのまま出品すると、思いがけず推奨を受賞し、子ども達も大喜びであった。
             


5.考察


年間を通して「米」をテーマに総合的な学習を行い、その一環として今回のデザインを取り入れた。この題材は、初めに画用紙を使って下絵を書いていたので、そのアイディアを元にスムーズに学習を進めることができた。

これまでの手書きのポスターデザインでは、文字の入力の際に新聞などからレタリングすることが多く、意外と手間のかかる作業であった。しかし、コンピュータを利用することによって、文字の配置や配色の変更が容易となり、自分の思い通りの作品を仕上げることができた。

一方で、このソフトに組み込まれているスタンプ機能を使ってイラストを取り込むことは賛否両論あると思える。マウスの扱いに慣れていない段階では既成のイラストがイメージを膨らませる手助けになるであろうし、あまり取り組みすぎるとオリジナリティーが損なわれることになる。発達段階に応じて対応する必要がある。

また、画用紙の作品とコンピュータ作品を比べてみたところ、すべての作品についてコンピュータ作品が優れていたとはいえないことが分かった。たとえば下の作品を比べてみると、米のネーミングのロゴは明らかに画用紙にほうが大きくバランスが取れている。キャラクターや背景の描写についても伸び伸びとしているのは手描きのほうである。コンピュータ作品は、操作の習熟度で描写に限界があるといえる。

コンピュータによるデザイン体験で表現力の向上をねらった今回の学習であったが、児童に付いた力は表現力の中でも特に「構想力」と「画面構成力」である。

手描きの作品では先に述べたように描写力が作品を大きく左右する。たとえよい構図で下書きができたとしても、色塗りの段階で効果的な配色ができなかったり、作業が雑であったりした場合には満足のいく作品にはならないであろう。これに対し、コンピュータによる作品は、加筆や削除といった修正も簡単である。このことから、コンピュータによるデザインは、どのようなアイディア(構想)を画面上に表現し、ロゴやキャラクターをどう配置するか(画面構成)とい点が作品の出来を大きく左右する。




6.おわりに


コンピュータはボタン一つでいろいろな効果を出すことができるので、描画を苦手とする児童にとっては、失敗をおそれず楽しんで活動することができたと思う。また、コンピュータの手軽さの反面、限界についても認識することができたのは大きな収穫であった。

地域の米穀店主をゲストティーチャーに招いた時に、「デザイン米袋を、自分の店で使ってみたい」との申し出があったので、将来的には本物の米を入れてオリジナルデザイン米として売り出されるかもしれない。そうすると、子ども達の充実感・達成感はさらに高まるであろう。

 

※本授業実践アイディアの著作権は、『作成者・発表元』またはその他の著作者が保有しています。
トップ > 授業実践アイディア-学習指導案データベース