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中川斉史先生

【研究発表】 小学生のキーボード入力学習の段階と検定用の級設定

キーボー島アドベンチャー中川 斉史
徳島県 池田町立池田小学校
 

2003年10月31日、11月1日に沖縄で開催された「第29回 全日本教育工学研究協議会 沖縄大会」において、『キーボー島アドベンチャー』の企画・開発メンバーのお一人である中川斉史先生が「小学生のキーボード入力学習の段階と検定用の級設定」という題で研究発表を行 いました。その発表内容をレポートします。

■ 2003/12/01掲載

ローマ字入力学習の3つのステップ

 

ローマ字入力学習には、次のような3つのステップがあると考えられます。(小原2002) 

1.ローマ字の仕組みを理解する
2.日本語入力を速くする(タッチタイピング)
3.思考の速さで打つ(文節変換のタイミング)

この3つのステップをきちんと分けて指導・学習することにより、子どもたちのキーボード入力スキルが定着し、練習への継続の意欲が高まるものと思われます。反対に、これらの段階を踏まないと、速度が上がらない,正確に打てない,ということになります。


図1 級のステップの階層構造

そこで,キーボー島の級を設定する際には、ローマ字入力学習のステップを,次のような螺旋構造で進めるように配慮しました。
まず、子ども達は、「あいうえお」(母音)の入力方法を学びます(方法理解)。次に、「あいうえお」が正確に打てるように取り組みます(正確さ)。正確に打てるようになったら、早く打てるように訓練します(スピード)。
「あいうえお」の入力が終わると、「か行」を、次は「さ行」を、というように子どもたちは、新しいローマ字の入力について、「方法理解」→「正確さ」→「スピード」という段階を螺旋状に学んでいくことになります。
キーボー島では、子どもたちがこのような螺旋構造的な学習を進められるよう、級を設定しました。
 

 

ピアノモデルをローマ字入力へ

 

次に、「ローマ字入力とピアノモデル」についてお話します。
「ピアノモデル」というのは、「楽譜を見た瞬間に指が動いている」ということです。
決して頭の中で「音符をみる」→「ソと認識する」→「ソの鍵盤を押す」という順番をこなしているわけではありません。
それと同じようなことがローマ字入力にもあてはまります。例えば、「雨の音」という言葉を見た瞬間に、対応したキーを押す、と考えられ、「あ=A、め=ME、の=NO」と分解して理解し、入力しているのではありません。
ローマ字入力学習においては、ピアノモデルのようにローマ字入力ができるようになる必要があると考えています。

 

 

キーボー島の級の設定

 


図2 練習項目と級設定

 

キーボー島の級設定のために、ローマ字入力に必要な練習項目を次のように洗い出しました。
赤色で示している級は,新しい課題(方法理解)です。この段階で新しい課題を練習します。
黄色で示している級は,正確さとスピードアップをする級です。
先に述べた螺旋的な学習ステップを実際に習得する大ステップに当てはめてみたのが,図2の各級の設定です。

 

 

指導内容とタイミング

 


図3 想定した指導内容と実際の指導

キーボー島では、子どもたちが自力でローマ字入力の練習ができ、向上することをめざしていますが、自力だけで全員が1級に合格できるわけではありません。
キーボード入力の練習にも、指導が必要な事柄やタイミングがあります。
開発段階において、図3のような指導内容を想定しましたが、実際に指導した教師の割合は、右側のグラフのようになりました。

たとえば,ホームポジションについては、多くの教師が指導していますが、それ以外の内容については,十分指導していない場合も多くありました。
たしかに,子どもたちがこれらのことを自主的に教えあうこともありますが、必ずしも徹底されるとは限りません。子どもたちの教えあいが期待できない場合は、きちんと指導する必要があります。


特に、句読点のある漢字変換では、変換の区切りをうまく指導しないと,思考の速さで入力することはできません。



図4 思考の速さで打つ

例えば、「わたしは」<変換>「、おんなです」<変換>でなく、「わたしは、」<変換>「おんなです。」<変換>と指導します。
箸の持ち方と同じように,文字入力やタイピングスタイルも一度変な癖がついてしまうと,その癖をなかなか直すことはできません。ですから,初めて出会うときの教師の指導が重要になります。
 


 

 

 

考察

 

ローマ字入力の指導においては、次のような点に気をつける必要があります。

タッチタイピングの正確さや、適切な文節区切りを、定期的に教師が指導、確認すべきです。
どうしても級がクリアできず,急に子ども達の意欲が停滞する場合があります。そんなときは,友達同士の学び合いを促進したり、コンピュータの配置を配慮し,隣の子どもの状況が常に見渡せるようにしたり,教師が「よくやったね」等の声掛けをするなどが大切です。

今後、このような指導方法や順番,タイミングなどについても、 「キーボー島アドベンチャー」Webサイトから先生方に提供していく予定です。
また、級の分け方が適切だったかどうかについても、検定データより調査を進めています。

 

全国小学生キーボード検定サイト「キーボー島アドベンチャー」のページへ
キーボー島アドベンチャー
http://kb-kentei.net/