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キュートライブラリの導入で、本好きの子どもを育てる目標がさらに前進

栃木県 足利市立山辺小学校

今回は、学校としての準備・体制を確認しながら、コンピュータ化、ネットワーク化によって、子どもたちと図書室にどのような変化が起こったのかをお聞きしました。校内LANの整備と本好きの子どもを育てるという2つの目標を掲げ、設備的環境と教育的環境の両面を整えてきた山辺小学校。平成14年の夏に〈キュートライブラリ〉を導入することにより、いち早く図書室の活性化が図られました。

2003/12/01掲載

 
 

栃木県足利市は、日本最古の学校とされる「足利学校」が誕生した地である。市内には渡良瀬川が流れ、そのすぐ南側の山辺地区に位置しているのが、今回訪問した足利市立山辺小学校である。
山辺小学校の歴史は古く、開校は明治6年。すでに創立130年を迎えている。かつては大規模校の時代もあったというが、市街地の広がりとともに学校が新設されるなどして、現在の児童数は650人ほどで、各学年 3クラスとなっている。
平成15年度より新たに赴任した堀越大二郎校長先生によれば、「この地域は、子どもたちに元気があり、パワーが溢れています。総じて教えればできる子たちという印象です。つまり、子どもたちに、能力があり、指導を受け入れる素直さや大らかさがあるのです。」と、子どもたちの気質をとらえている。異学年交流も日常的に定着するなど、子どもたちは、学年を越えたつながりを持っている。また、学校教育に関して地域からの理解も厚く、PTAなどもあたたかく前向きに活動を推進しているという。

 

 

本好きの子どもを育てるために

 

山辺小学校では、平成14年の夏に、情報図書館支援システム〈キュートライブラリ〉を導入した。
その背景としては、次のふたつがあった。
(1)本好きの子どもを育てよう
(2)校内LANを整備しよう
『本好きの子どもを育てよう』という取り組みでは、当初、1年生を対象とした本の読み聞かせ「お話ポケット」を企画、保護者の協力で本の読み聞かせを続けていた。それを、平成13年度から全学年に広げていった。また、朝の20分間読書や「図書館だより」の発行、10月の「読書まつり」の実施などにより、子どもたちが本に親しもうとする気持ちを高め育ててきた。
そして、これらと平行して、子どもたちが利用しやすい図書室の環境整備にも取り組んできた。この中では、掲示物の作成や図書委員(児童)による推薦図書コーナーの設置、視聴覚スペースの設置、計画に基づいた本の購入などの実施とともに、『校内LANを整備しよう』という取り組みと連動して、コンピュータによる蔵書データベース化が検討されていた。
この『校内LANを整備しよう』という課題は、足利市内の小学校としては、いち早い取り組みとして実現し、平成14年度には手作りの校内LANが整備され、〈キュートライブラリ〉導入の下準備が整ったのである。

 

 

 

「ポケット」のお知らせ。保護者がボランティアで読み聞かせを行っている。

  「読書まつり」カード。図書委員のアイデアで、ひとり3冊の本を借りるとクジを引くことができる。何が当たるかは、ヒミツとのこと。

 

 

 

新着図書などのお知らせや「おはなしポケット」の予定などが記された「図書だより」。

  毎年、秋に3週間設定されている「どくしょまつり」のポスター。

 

   

 

昼休みに図書室で開かれる紙芝居。ソファも用意され、子どもたちはくつろいだ雰囲気で紙芝居を見ていた。

   
 

ネットワークを活かせる〈キュートライブラリ〉

 

情報教育担当の田名網崇先生によれば、「いくつかの図書管理ソフトを含めて検討していく中で、校内LANを活用した各教室からの利用を考えた時の初期導入費用の安さと誰にでも簡単に使えるシステムという2点で、〈キュートライブラリ〉の導入を決定しました。」とのこと。
先生の転勤で稼動が止まることがないように、専門知識を必要としなくても活用できる点。さらには、万一の際にもサポート体制が整い、素早い支援を得られることなどが評価されたようだ。
この他、校内LAN環境を活かしてネットワーク上で活用できる点や児童、蔵書が増えた場合でも、特別なシステム変更を行うことなく対応できるなどのメリットなども大きな要因であったという。
「元々、私が授業でキューブシリーズを活用していたということも大きかったですね。長い間キューブを活用している中で、アプリケーションに対する信頼感もありましたし、新しいキュートシリーズの〈キュートライブラリ〉が、授業とうまく連携できればいいという考えも持っていました。」と話す田名網先生。図書館支援システムが、単に図書館業務の効率化だけでなく、授業活用にもつながる幅広い役割を担ったシステムであるととらえている。

 

 

 

 

 

子どもたちは、20分間休みや昼休みなどに図書室を利用することが多いという。書棚には、分類ごとに本が並ぶ。

 
管理者メニュー画面

管理者メニュー画面

利用者メニュー画面

利用者メニュー画面

 

導入準備から稼動へ

 

〈キュートライブラリ〉の導入にあたって、ネットワーク機能を活かすための校内LANの整備は、田名網先生をはじめとする他の先生の努力によって実現していた。その他の準備としては、全蔵書のバーコード化である。山辺小学校の蔵書は約7500冊。この蔵書全てのバーコード登録と登録されたバーコードをそれぞれの本に貼っていく作業が付随する。
この作業を行うにあたっては、教育委員会から市内の小学校に派遣されている情報教育指導員に援助を依頼した。バーコード登録をこの情報教育指導員に依頼し、続く蔵書へのバーコード貼りは、PTAを通じて協力要請を図り実現した。これによって、夏休み期間内に、全ての準備が完了したことになる。
こうして、平成14年の2学期に、情報図書館支援システム〈キュートライブラリ〉が、山辺小学校で稼動しはじめた。
図書館担当の須藤麻美先生によれば、「このような作業を実施するには、夏休み期間中が最も望ましいと思われます。先生方は多忙なため、情報教育指導員やPTA、保護者、地域ボランティアなどに応援していただいたことは、大変ありがたいことでした。」と話す。
そして、平成15年度になり、足利市内の他の小学校では、LAN整備の段階から、情報教育指導員に依頼を図るなど、それぞれの学校で独自に計画が練られて進められているという。また、LAN整備と同時に、山辺小学校の図書室の活性化状況を踏まえて、〈キュートライブラリ〉を導入した学校も数校あり、足利市での標準的な図書管理システムとして広がりつつある。

 

 

 

5年生と6年生で18名の図書委員。毎日交代で貸出業務を行っている。   バーコードリーダで読み取るだけ。ほんの数秒で貸出返却が完了する。

 

 

 

〈キュートライブラリ〉の貸出返却画面。   すべての蔵書にバーコードが貼られている。

 

貸出返却画面


 
 

 

貸出返却画面

   
 

図書貸出数は1.4倍の伸び

 

〈キュートライブラリ〉の導入によって、もっとも顕著となったのは、本を借りる冊数の増加である。
平成14年度の1学期と2学期の変化を見比べてみると、高学年で1学期に8.7冊だったものが、2学期には、12.3冊(約1.4倍)へと伸びている。元々多くの本を借りていた子どもの冊数の伸びはそれほど多くないものの、それまで6冊以下だった子どもが、ひとり平均3.6冊の伸びを示したという。
実は、これには明らかな原因があった。
〈キュートライブラリ〉導入前の図書貸出業務は、決してスムーズとは言えず、貸出カウンター前に行列ができることもしばしばあり、また、人為的なミスなどで業務が滞ることもあったという。昼休みの30分間で貸出返却処理できる人数は、せいぜい20名ほど。待ちきれずにあきらめてしまう子どもたちもいたという。
それが、〈キュートライブラリ〉を導入することによって、同じ時間内に処理できる数が50名程度にまで向上したという。そして、一日の図書室利用人数も110名(授業での利用含む)に増加した。つまり、図書室が利用しやすくなったことで、子どもたちの本を読みたいという意欲が、さらに向上していったことがうかがえる。

 

貸出業務はスムーズに進んでいく。「20分の休み時間に50人の貸出返却を処理した時には、コンピュータのすごさを実感しました。」と須藤先生。

 

多読者リスト

  貸出しリスト

 

多読書リスト

  貸出しリスト
 

「掲示板」機能で情報交換

 

山辺小学校では、校内LANが整備されていることで、〈キュートライブラリ〉をネットワーク上で活用している。例えば、教室から図書室の蔵書を検索したり、貸出予約などを行うことができるのであるが、中でも人気のある使い方として、「掲示板」機能がある。
「掲示板」機能は、本の紹介を行うなどの交流場面で活用できる機能である。山辺小学校では、校長先生をはじめとする各先生が「こんな本を読んでみよう」と「掲示板」にその本を紹介すると、子どもたちが本を読んで、その感想などを再び掲示板に載せたり、先生宛にメッセージを送るのだという。
そして、今では、その交流が発展し、子どもたちどうしで本を紹介しあったり、感想を書き込むなどの活動が日常的に行われている。
「子どもたちの中に、本を借りたいという意識が確実に芽生えています。」と須藤先生。田名網先生も「情報図書館として機能しはじめ、図書館の活性化が図られていますね。」と話す。

 

教室から「掲示板」にアクセスして交流したり、貸出予約などができる。

 

お知らせ(管理)

  掲示板

 

お知らせ(管理)

  掲示板
 

授業計画と蔵書把握

 

「最近の学校図書館は学習センターとしての役割が重要視されています。例えば国語でひとつの話を学習した後、同じ著者の本を読んだり、関連した本を調べて作文を書いたりする活動を支援できるような図書室であることが求められています。」と話す須藤先生。それは、各学年の指導計画に基づいて、どの教科のどの単元のどの授業で役立つ本が図書室にある、というデータベースの整備である。
そのためには、学習目的に合わせたキーワード検索を工夫して、適切な本を選ぶことができるように整っていれば実現する。「ぜひ取り組みたい」(須藤先生)構想のひとつであり、これによって〈キュートライブラリ〉の活用は、授業と連携してさらに効果的な活用へと広がっていく。
また、すでに授業では、〈キュートライブラリ〉を活用して、コンピュータ室のパソコンから一斉に感想文を入力し、みんなで読み合うなどの学習も行われていることから、情報図書館としての図書室の役割と期待は、今後も一層高まっていくと考えられる。

 

貸出規定

 

 

貸出規定

  「くつろげるスペース」を目的に置かれたコタツ。
 

〈キュートライブラリ〉の活用による今後の構想

 

〈キュートライブラリ〉は、地域イントラネットを見据えたシステムとして開発されていることもあり、山辺小学校では、ネットワーク機能を活かして、より大きな構想を描いている。
例えば、地域内の公民館や子ども館にある図書館にアクセスして蔵書を検索したり、市内の他の小学校の図書室どうしが連携することによって、子どもたちが広く読書の機会を得られるようになることを期待している。

図書室担当の須藤麻美先生(左)と情報教育担当の田名網崇先生(右)
 

 

堀越大二郎校長先生

子どもたちには、足利人としての大事な精神を携えて、世の中を見据えてほしいと思います。

私が考える学校長としての役割は、次の3点であると考えています。
 まず、コンピュータや指導者などの物的・人的環境を整えること。次に、教育計画を作成して、授業に応じたコンピュータ活用を計画・組み立てること。そして、もうひとつ、コンピュータを活用した先生方の授業資質を高めること。そのために、研修などの機会を提供することであると考えています。
 コンピュータは、より豊かな知識を得るための教育的ツールです。「表現力」「エチケット」「検索」などを学び、子どもたちの成長に役だってほしいと願っています。
 そして、山辺小学校を卒業した子どもたちには、将来、これからの足利を背負って立つ人間に成長し、足利人としての大事な精神を携えて、世の中を見据えてほしいと思います。
 

情報図書館支援システム<キュートライブラリ>