授業実践リポート ICT活用&情報教育

School Now

沖縄県 沖縄市立美原小学校 

沖縄市立美原小学校

「新聞作成ソフト」を活用して

『1年間の思い出新聞』を作成

 

4年生 総合的な学習の時間
教科単元支援ツール〈スキップ〉活用事例 

2008/05掲載

 

『国際理解教育・情報教育』研究指定

沖縄市立美原小学校の花壇

 

掲示物
校内に掲示されていたシーサーをイメージとした保健ポスター

沖縄市立美原小学校の階段
階段の各段に貼られた英単語の掲示のほか、児童が自然に英語に親しむための楽しい工夫がある。


 昭和49年(1974年)に旧コザ市と旧美里村が合併して沖縄県第二の都市となった沖縄市は、人口128,000人で沖縄県中部エリアの中核都市である。

 その沖縄市に、平成2年に開校したのが美原小学校である。4年生~6年生は4クラス、1年生と2年生は5クラスへと増え、全校児童数は1,000人に近づくなど大規模校となっている。子どもたちは、ちゅら島(美しい島)沖縄を愛する気持ちは強く持ち、郷土愛に溢れた気質が感じられる。

 美原小学校では、平成17年度から3ヶ年に渡って沖縄県教育委員会並びに沖縄市教育委員会からの研究指定校として『国際理解教育・情報教育』の研究が実践されてきた。そして、平成19年11月30日には、公開授業を開催するなど、3ヶ年の成果が発表された。

 同校では、研究指定を受け、その主題として『国際理解教育の実践を通した表現力豊かな児童の育成~体験的な活動を通して~』が掲げられている。

 そして、研究を実践するにあたってつくられた情報教育部では、次の4つの項目に関して研究が進められた。

1.情報教育に関する児童の実態把握

2.ITを活用した交流学習や調べ学習の環境整備

3.表現力を高めるためのプレゼンテーションの方法についての研究

4.ホームページのデータの蓄積及び更新作業

 

こうした活動を通して、美原小学校では、国際理解教育と情報教育を融合させた研究指定の実践が行われたのである。

 

 

4年生『1年間をふりかえって』の新聞づくり

新聞作成ソフト
新聞作成ソフト

 


下書きの原稿を元に文字入力を行う

新聞作品02
授業で制作した子どもたちの新聞作品
新聞作品01

 

授業風景

 平成20年2月、4年2組の授業を見学することができた。この日は、すでにノートにまとめられた思い出の学校行事をパソコンに入力する作業もほぼ終了し、新聞としての体裁を整えるレイアウトを行う学習である。

 使用するアプリケーションは、小学校向け教科単元支援ツール〈スキップ〉である。そして、その〈スキップ〉に搭載されたツール「新聞を作ろう」が活用された。文字入力を急ぐ児童の他は、レイアウトの完成を目指して、文字サイズの調整や見出しの作成、記事の枠取りなどが行われ、新聞らしく整える作業が進められた。

机間指導する前原先生 担任の前原博光先生からは、「見る人のことを考えて新聞をつくりましょう。まず、記事の枠をつくり、スペースが空いてしまったら、文字の大きさを変えていきましょう。それができたら、次にイラストを加えたり、見出しを作成していきましょう。そして、色を付けるなどして飾りましょう。」というような手順がひととおり説明された。

 何分かの作業時間が過ぎた後、前原先生は、「友達の作品を見てみよう」と呼びかけ、先生機から進み具合が早い何名かの児童の作品を提示した。

 すると、子どもたちの間から、「きれい!」「新聞らしい!」というような感想の声がこぼれた。

 作品を見終わった子どもたちは、それまで以上に熱心な姿勢でパソコンに向かいはじめ、中には、友達どうしで相談するなどの姿も見られた。子どもたちの会話からは、「ここ、空いてるからもったいないよ」などという声が聞こえてきた。

 授業終了の5分前になって、前原先生は子どもたちの活動を止めて、スライドショーでひとりひとりの作品を表示していった。いろいろな作品を見て、子どもたちはまたあらたな刺激を受けたようであった。

 

キューコン(第10回キューブ活用コンテスト)でグランプリを獲得

前原博光先生
前原博光先生

 

 2学期に『琉球新報社』が主催する新聞コンクールに応募した4年2組の児童は、ここで高い評価を得たのをきっかけに、デジタル新聞づくりを積極的に進めることになった。

 総合学習の環境教育の学習場面では、「『ちゅら島沖縄』をつくり隊」という課題にチャレンジし、その情報をまとめる学習で、紙芝居や絵本などのまとめ方とともに、〈スキップ〉が活用されている。

 また、その後にも、グループでの取材活動のまとめの際に〈スキップ〉を活用するなど、経験を重ねている。今回の授業で、児童たちに操作の戸惑いがなかったのは、これまでの学習機会が生かされているからであろう。

 さらに、こうした新聞作成の集大成として応募した『キューコン(第10回キューブ活用コンテスト)』においても、見事にグランプリを受賞することになった。

 前原先生は、「子どもたちの学習活動が高い評価を受けて、大変うれしく思います。〈スキップ〉は、写真の配置やタイトルの作り方、枠の移動、テキストの回り込みなど、新聞作成に必要な機能を備えていて大変使いやすいと感じています。子どもたちの授業以外でも、私自身、学年だよりや学級だよりなどにも活用しているほどです。」と、〈スキップ〉活用の場面の広がりを教えてくれた。

 国際理解教育と情報教育の研究を通して、海外の学校とのテレビ会議の実践などで情報機器の活用を推進してきたのと合わせ、〈スキップ〉が、子どもたちの情報機器活用に深くかかわっていたことを確信することができた。「子どもたちには、もっとパソコンを活用した授業を行っていきたい。」と話す前原先生。その熱意は、きっと子どもたちの心に響いているであろう。

 

 

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