授業実践リポート ICT活用&情報教育

School Now

神奈川県 川崎市立東橘中学校

つくる楽しさを生徒に伝えたい!

 中学校技術分野での「キューブ」活用

活用のポイント

1 複合的な題材で効率的に学習

2 「自分の製作品のCMを作ろう」にピッタリ

3 つくる楽しさを学んでほしい

〈キューブNextシリーズ〉活用事例

2014/01掲載

技術科の藤澤泰行先生にお話を伺いました。

「祝 県大会出場」の垂れ幕が、クラブ活動の活発さを物語る神奈川県川崎市立東橘中学校。技術分野の様々な分野で教育用統合ソフト「キューブNext」が活用されている。
技術科を担当されている藤澤泰行先生に、キューブの活用についてお話を伺った。

複合的に題材を設定して効率的な学習を促進

授業の始めにはタイピングの練習。進捗をデジカメで記録する。

制御教材のプログラムに挑戦。教材にプログラムを転送して指示通りに動くか確かめる。

 現在、東橘中学校の1年生は計測・制御の学習に取り組んでいる。技術科を担当する藤澤泰行先生は、「ソフトウェアの使い方を学習する授業を行う時間的余裕はないので、ひとつの題材の中にタイピング技術習得の要素を組み込んだり、アプリケーション操作の基本を学ばせるなど、複合的な学習の場面を設定しています。」と、効率的な授業の組み立てを行っている。
 計測・制御の学習の過程で、デジカメの操作方法を覚えたり、ファイル転送の技術を習得する他、成果をまとめる際には、キューブの〈ニュース制作〉を活用する予定だ。また、前期の情報モラルの学習では、校内LAN上で〈キューブメール〉によるやりとりを実践したのをはじめ、〈キューブペイント〉で絵を描き、それを〈掲示板〉で閲覧できるようにして相互鑑賞の機会を与えるなど、キューブの機能を積極的に活用している。「課題(作業)がすでにあって、そこにキューブの各機能を連動させている状態です。〈ニュース制作〉を使うために、新たに課題をつくるのでは、生徒の取り組み姿勢もあまり積極的とは言えません。それよりも、これまで取り組んできた課題をキューブでまとめてみよう、と生徒に投げかけるのです。そうすると、生徒には学習への思いがあるので、より強い気持ちでまとめを行いますね。」と藤澤先生。

「自分の製作品のCMを作ろう」の学習にピッタリ

 「映像を取り扱うアプリケーションが少なかったので、キューブの〈ニュース制作〉は大歓迎です。」と藤澤先生は期待を寄せている。
 教科書の「自分の製作品のCMを作ろう」という学習課題を実践するためには、映像を扱うアプリケーションが必要になるが、キューブの〈ニュース制作〉は、それに最適であるという判断だ。今、取り組んでいる計測・制御の学習では、動作中の様子を動画撮影してあり、これを取り込む予定である。「まとめとしての表現方法は、いくつかあると思っています。〈リーフレット〉や〈プレゼン〉も良いでしょう。今回は、動画を扱いたかったので〈ニュース制作〉を選びました。生徒には、情報発信によって自分の学習を知ってもらえるんだ、ということを伝えたい。生徒ひとりひとりに、学習に対する思いがあるはずです。苦労があれば、それがよりはっきりと軌跡として反映されることを期待しています。」と藤澤先生。プランが構想通りの展開していることは、生徒の学習姿勢からも伺うことができる。

1年生の夏休み前までに「情報モラル」の学習を実施

 今の1年生では「情報モラル」の学習を入学時から取り入れ、携帯電話を使うときのルールやマナーを身につけさせるための仕掛けがされていた。これは、藤澤先生が10年近く前から行っている具体的な授業が参考になる。情報機器を活用した新しいコミュニケーション能力を身につけさせることを目的としたこの授業は、"あいまいな表現によってもたらされる多様な解釈"の出現を生徒の目の前に示すことで、コミュニケーションの難しさを実感させる。そして、だからこそ相互に情報をやりとりする際には情報モラルを身につける必要がある、ということを訴えていて興味深い。「もう古くから実践している学習ですが、私は価値があると信じています。」と藤澤先生が言うように、初期段階で実践するほど効果が期待できるようである。
 この実践の中でキューブが活用され、授業がスムーズに進行している。

つくる楽しさを学ぶ技術科でありたい

 神奈川県警察本部が開催する養成講座を修了した人に与えられる、サイバー・セーフティアドバイザーの資格を有するなど、技術科を教えるために熱心に取り組む藤澤先生は、「ネットワーク社会の中で子どもたちをどのように育てるかは、とても大切なこと。中学3年生で携帯電話保有率がほぼ100%である現状を考えれば、『禁止』ではなく、『正しく使う技術を身につける』ことを教える必要があると思います。技術科はその役割を担っているし、生徒のことを最優先で考えれば、少しでも理解が促進され尚かつ楽しみを実感できる授業を行っていきたいと考えています。つくる楽しみをこれからも生徒に伝えていきたいですね。」と藤澤先生。ICTを活用した"見せる授業"にこだわり、少しでも生徒の理解が進むようにキューブなどを活用して、アイデアあふれる授業を組み立てていた。技術科が果たす役割は、今後ますます重要になっていくだろう。

情報モラル教育「あいまいな文章を読み解く」

藤澤先生は、「情報のやりとり」という体験を通して、ある事柄に関する事実を整理・判断して、自分なりに情報をとらえて表現するといった経験をさせるために、認知心理学*を応用した題材を設定し、授業に取り入れている。
*参考:戸田正直他著 「認知科学入門-知の構造へのアプローチ」

授業実践例 「文章を絵にしてみよう!」

文脈のはっきりしない文章を読んで、その状況を<キューブペイント>で絵に描く。文章の理解には、様々な要素が働いていることを体験する。

~発問~
この文章で説明されている状況を絵に描いてください。
「もし風船が破裂したら、その音は届かないだろう。何しろすべてがめざす階からあまりにも遠すぎるからだ。建物はたいてい外から十分に遮断されるようにできているから、窓が閉まっていると音は届かないだろう。うまく作動するかどうかは、電流が流れ続けるか否かにかかっているから、電流が途中で破損すると問題を引き起こすもとにもなろう。もちろん、この男は叫ぶこともできるが、人間の声はそんなに遠くに届くほど大きくない。もう一つの問題は楽器の弦が切れるかもしれないということだ。そうするとそのメッセージに伴奏がなくなってしまう。距離が近いのが一番よいことは明らかだ。そうするとほとんどの問題はなくなる。面と向かいあっている時にはうまくいかないことはほとんどないであろう。」

生徒の作品例
文章をどのように読みとっていくかによって、生徒個々の表現例は大きく変わってくる。この時、生徒の表現が違えば違うほど、相互に情報をやり取りする中での、コミュニケーションの難しさを実感する。

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