授業実践リポート ICT活用&情報教育

東京都 北区立西浮間小学校

これからを生きる子どもたちのために教師自身がアンテナを高くし考え続ける

3年3組 担任 相場 奨太 先生

対象:3年3組 40名

教科:国語、総合的な学習の時間

活動名:俳句大会をしよう

活用ソフト カードづくり

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2018/12掲載
※記載の情報は取材時のものです。

 授業はリズムが大事と話す相場先生。今回拝見したのは、3年生の国語の授業だ。自作の俳句で句会にチャレンジする。授業にはねらいを達成するためのさまざまな工夫がちりばめられていた。

Point 子どもたちの「俳句をつくりたい!」の声からチャレンジ!

実物投影機には、子どもたちが自然に丁度良い位置に成果物を置くことができるよう、印がつけられている。このような細やかな配慮が授業の進行をスムーズにする。

 学習のねらいや子どもたちの興味・関心を考慮しながら、求められる資質・能力について教科等横断的な視点に基づき、弾力的な指導に取り組む。

授業の流れ

本時のねらい

  • キーボードを使ってローマ字入力をし、俳句カードを作ることができる
  • 俳句に描かれた情景を思い浮かべ、言葉の響きやリズムを感じ取りながら、音読や暗唱をすることができる

1校時

1 各自、俳句作品の選定

国語のノートを見て、今までに書いた4つの季節の俳句の中から、前の時間に自分でこれが1番(①)と書いた俳句を確認する

1校時

2 俳句カードの作成

<キューブきっず>で「俳句カード」を作成し印刷する

2校時

3 班の中で代表作品の選定

印刷したカードを班内で紹介し合い、自分が気に入った作品に投票する(5人班×8班)

2校時

4 各班の代表作品の発表

各班で投票数が1番多かった班の代表8人が前に出て全体に向けて発表する

2校時

5 代表作品への投票

各自、自分が気に入った作品に投票する

2校時

6 開票、各賞の選定

開票し、クラスの金賞・銀賞・銅賞を決める

インタビュー

3年3組 担任 相場 奨太 先生

教師自身がアンテナを高くし考え続けること。そして、継続していくこと。

―これからの社会を生きる子どもたちのために、どのようなことを心掛けたいとお考えですか?

 子どもたちに、知・徳・体のバランスのとれた「生きる力」を育成したいと考えています。
 新学習指導要領では、言語能力、情報活用能力(情報モラルを含む。)、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力の育成について「各教科等の特質を生かし、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする」と明示されています。
 特に、情報活用能力について言えば、「各教科等の特質に応じて適切な学習場面で育成を図ることが重要であるとともに、そうして育まれた情報活用能力を発揮させることにより、各教科等における主体的・対話的で深い学びへとつながっていくことが一層期待される」 と明示されています。
 このようなことを常に念頭に置いて、どの授業でどんな活動ができるか、ということを考え続けています。

※小学校学習指導要領解説総則編

理科

国語
上が理科の春の自然を見つける授業の中で使ったイメージマップ。中心にある季節からイメージするものを自分で考えて書き、友達と共有し合った。この実践が国語の俳句の授業の季語出しにも繋がった(写真下)

―一年間の学習の全体の流れの中のどこに組み込んでいくかということを常に考えていらっしゃるのでしょうか?

 そうですね。情報活用能力の育成について特化した教科等はありません。ですからカリキュラム・マネジメントを充実し、教育活動の質の向上を図ることが大切です。見通しと根気がいりますけどね。

―日々アンテナを高くしていたことで、具体的にどのようなアイデアが浮かびましたか?

 思考ツールの1つ、イメージマップを授業の中で活用してみました。すると、子どもたちは容易に自分の考えを書くことができるようになりました。イメージマップを最初に使ったのは、4月、国語の自分のことを紹介する単元でした。その後理科の春の自然を見つける授業でも使ってみました。
 その時に、この手法は俳句の授業で季語を出すときにも使えるなと思いました。

―理科での活動が国語につながっているということですね?

 そうです。理科で春について学習した時と同様、その他の季節(夏・秋・冬)をイメージする言葉をたくさん書きました。そしてそのイメージマップを参考に俳句を考えました。そうすると、俳句の中に必ず季語が入ります。イメージマップがない状態で考えると、なかなか言葉が思い付かず、5・7・5のリズムができたとしても、肝心な季語が抜けてしまうことが考えられます。

知識を技能へそして表現へ

―情報活用能力の育成のための授業について、何か意識されていることはありますか?

 私が意識しているのは、「積み重ね・継続」です。知識・技能を身に付けたら、表現する活動までさせるようにしています。
 情報活用能力育成の重要性や期待などについては前述しましたが、どの教科や単元等で育成するのか、学習指導要領に例示されているわけではありません。そこで、基本的な操作を確実に身に付けさせるための学習活動を、カリキュラム・マネジメントにより各教科等の特質に応じて計画的に実施していくことを常に考えています。
 例えば、キーボード入力だと、ローマ字表を知ってるだけでは不十分で、知識を技能に変えていかなくてはなりません。まず<キーボー島アドベンチャー> やワークブックを使って知識を身に付けます。KAと打ったら「か」だということを知ります。それができるようになったら、<キューブきっず>を使ってカードを作り、技能を身に付けます。そうすると、「あ、覚えたからできる」となっていきます。そうなれば、自分なりの表現をする道が開けてくるのです。

※全国小学生キーボード検定サイト<キーボー島アドベンチャー>は、児童のキーボード入力のスキルアップを支援することを目的にした無料のサイトです。

キーボード入力の練習を積み重ねていく

<キーボー島アドベンチャー>をクリアするとシールがもらえる

―今回の授業では、キーボード入力で俳句カードを作るところまで、全員が1時限目の時間内に終わっていましたが、具体的にはどのような指導をされたのでしょうか?

 4月当初から、まずはローマ字の指導をしました。書き込み式のワークブックを使いながらローマ字を覚え、ローマ字でのキーボード入力のスキルの指導に繋げていきました。キーボードの配列が書かれたシートを利用して、朝学習などの時間を使って繰り返し練習をさせました。最初は五十音の入力から取り組み、慣れてきたら自分の名前や文章を入力させるなど、段階的に指導をしました。総合的な学習の時間を使って<キーボー島アドベンチャー>にも取り組みました。モチベーションを保つために、挑戦した級をクリアするごとにシールを貼る特製のカードを作ったり、自分の位置が確認できる一覧表を教室に貼り出したりしました。このような積み重ねを生かし、名刺作りをしました。これらの経験から俳句カード作りにもスムーズに取り組むことができました。

―技能を自分のものにしていくには実践を積み重ねることが必要ということでしょうか?

 そうですね。そして表現することだと思います。表現することが、学びに対する関心・意欲・態度というか、主体性につながるのではないかと思います。そのためにいろいろな判断も必要になりますしね。

―最後に、ICT活用について、先生方へのアドバイスがあったらお願いします。

 ICTを使うことが目的にならないように、より良い指導のために本当に必要か?と考えることが大切だと思います。どこでどう使ったら本当に効果があるのかを考えることです。
 各自治体ごとに、ICT機器の環境整備が進んできています。最近よく思うのは、環境を含めて材料は山ほどあるが、それをどう料理すればいいのかわからないという先生方が多いのではないかなということです。ICT機器の扱いには長けていても、それをどう授業に盛り込んでいったら効果があるのかがわからないという先生方もいます。実践を通して、調理方法として活用の仕方や活用の効果を提案できたらと思っています。今日の授業もそのひとつになったらいいなと思います。

相場先生に<キューブきっず>を使った感想をお聞きしました

<キューブきっず>でモチベーションアップ

 授業に<キューブきっず>での活動を盛り込むことは、子どもたちのモチベーションアップに繋がると思います。授業のねらいにもありますが、キーボード入力の技術向上については、<キーボー島アドベンチャー>だけだと、壁にぶつかったときに子どものやる気が落ちてしまうことがあります。そこで、<キューブきっず>で成果物を作成するという活動を通して実践します。成果物ができあがるとやっぱり子どもたちは嬉しいんです。じゃあ、もっと長い文章を打つためにはもっと技能を付けていかなきゃいけないから、また<キーボー島アドベンチャー>をがんばる、といったスパイラルが生まれてくるといいかなと思っています。

<キューブきっず>の詳しい情報はこちら

<キーボー島アドベンチャー>の詳しい情報はこちら

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