授業実践リポート ICT活用&情報教育

1人1台端末で振り返りをデジタル化!
児童の主体性を育む学習評価の取り組み

1人1台端末 活用事例②

茨城県鹿嶋市立鉢形小学校

教務主任渡辺 杏二(わたなべ きょうじ)先生

2023/12掲載
記載の情報は掲載時点のものです。

茨城県鹿嶋市立鉢形小学校では、1人1台端末を活用し、様々な授業実践を行っています。その中でも授業改善に手ごたえを感じているという算数の授業での「デジタルワークシートを使った振り返り」を中心に、同校の教務主任で様々な研究に携わっている渡辺杏二先生にお話をお聞きしました。

振り返りに感じていた課題

振り返りをデジタルワークシートTravi(トラビ)で行ってみようと思ったきっかけなどはあったのでしょうか?

GIGAスクール構想による1人1台の整備により、効果的なICT活用について模索する中で、当時から大きな教育課題として挙げられていた振り返りに焦点を当てました。当時は、振り返りシートの配布・回収・集計・分析に手間がかかることで、学習効果が思うように得られていませんでした。

振り返りの場面に他者とのつながりが生まれた

デジタルワークシートTraviでの振り返りは、どのような点が効果的に働きましたか?

まず、これまで自分自身の記録にとどまっていた振り返りが、学級全体に共有されるようになったことが大きな変化です。紙で書いて提出するだけの振り返りでは、意欲がわかず、記述内容が深まらない児童が少なくありませんでした。

一方Traviは子どもたちが振り返りを送信後、即時集約し一覧で見せることができます。教師や友達からの反応を得られることで、振り返りの書き方に意識が向くようになりました。また、解き方について「単位を変換するアイデアを真似したい」など、友達の良いところに着目する記述が見られるようになりました。

一覧表示して教師が提示し、児童の言葉を取り上げる

単元を通して、子どもたちの言葉と目線で課題を作ることができた

また、<継続的な記録の一覧表示>※1を見せられたことで、授業の最初に前時の疑問を取り上げることができたという点も大きいです。振り返りの変容を示しながら、子どもたち自身の言葉で学習の現在地を確認することができます。

子ども自身も自分の記録を一覧で閲覧することができるので、本時の課題を解決するために昨日までの学びを参照する、単元の総まとめに活用する、といった使い方ができるようになりました。そういった積み重ねの効果か、「どんな形でも立体でも、この学習で学んだ式を生かしたい」など発展的な見方が振り返りに多く見られるようになり、自己調整能力の育成にもつながっているように思います。

そもそもTraviを使うようになったのは、「単元を通して学びの変容を追いたい」という課題感を多くの先生の間で共有していたことがきっかけだったので、この成果は嬉しかったです。

昨日までの学びを確かめながら学習する

学びのつながりを途切れさせないことが、授業改善に

「その場でフィードバックする」というのもポイントの一つなのでしょうか?

算数では毎回授業の最後に適用問題を実施しました。これまでにも適用問題は行ってきましたが、プリントを回収する都合上フィードバックは翌日に持ち越され、子どもたちも教師も、本時のめあての達成状況がわからないまま授業が終わっていました。デジタルでの時間短縮によって、適用問題の回答を把握した上で教師が最後にまとめの一言を発することができ、子どもたちは吸収力が高い状態で受け取ることができます。評価と指導がつながったことが学習の定着度を高め、点数アップにつながりました。

教育現場でのAI活用に感じている可能性

Traviの試作機能「テキストAI分析」も活用し始めているとか。

これまでのICT活用は、校内研修が必要で使い慣れるのに時間を要することが多かったのですが、「テキストAI分析」は、先生自身が可能性を感じ、助っ人が一人増えたような感覚で自然と実践してくれるような状況が生まれています。(もちろん人格はないので、生成系AIのしくみやリテラシーを子どもたちに意識させることは重要です。)たとえば授業の振り返りを、クラス全体で要約して出力するという使い方ができます。授業のねらいに沿った振り返りができていればそれが即ち授業のまとめになりますし、子どもたちにとっても「自分たちが導き出せた」という感覚を得られるのではないでしょうか。

テキストAI分析「要約」の分析結果画面

継続的な活用で振り返りの「書き方」に変容が見られたことが大きな一歩

デジタルワークシートでの振り返りの実践を今後の研究にどのように生かしたいと考えていらっしゃいますか?

子どもたちが、振り返りの「書き方」を覚えたのか、学び方や学びへの姿勢そのものが変わったのか、今後の実践研究で明らかにしていきたいと思っています。しかし最初は技能だったとしても、それは思考力や表現力、主体的に学ぶ姿勢へとつながっていると感じているので、まずは「書き方」に目に見えた変容があったことが大きな一歩です。

研究の終着点はまだまだ先にありますが、児童の自己調整力が高まり主体的に学ぶために、学習の振り返りが一つの手立てになるように取り組みを進めていきます。

他にもこんな場面で使われていました!

使用アプリ:Travi テキストAI分析

国語

本時の学習のまとめを行う際、自分のまとめと AIで生成したみんなの意見を集約した文章を比較。その共通点や差異を自己評価や自らの課題を認識するヒントにすることも。

使用アプリ:Triel(トリエル)※2

算数

解き方を自分で考え終わった児童からノートの写真を撮り、投稿。「友達の考えを覗いてみる」ことから始められる安心感で、学習に苦手意識を持つ児童もあきらめずに授業参加できる。

使用アプリ:Triel(トリエル)※2

道徳

設問ごとのトークルームに自分の意見をどんどん投稿。手を挙げて発表するのと違い、「個人ワーク」と「クラスワーク」が明確に区別されないことで、注目されすぎずに自分の考えを共有できる。

※1
授業ごとに配布したシートの回答を並べて表示することができる機能
※2
edu-cubeのアプリの1つ。グループ内で話題ごとにトークルームを作り、画像や手書き等を含むメッセージのやりとりができる。
スズキ教育ソフト